Appendix II   

エデン オルタナティブ

清田美壬 KIYOTA Emi  M.S.,  M. Arch.

 

「これまで一生懸命に生きてきたのに、毎日一人ぼっちで、誰の役に立つことも出来ず、つまらない毎日を送っているのがつらい。」とお年寄りに相談されたらどうしますか?「病院に行って薬を処方してもらえばすぐ治るよ」と医師の診断を受けるようにとアドバイスをするでしょうか? 

 

これまでの老人ホームでは、この相談に答えるために、元気のないお年寄りを薬によって治療しようとしてきたのではないだろうか。しかし、この様な元気のないお年寄り達に元気を出させる薬など存在するわけがない。これまでの老人介護は、このような老人ホームに蔓延している“薬で治せない現象”を、病として認めず、さらにその現実に目をつぶってきたのではないだろうか。このような老人介護の状況が、現在の老人ホームに住むお年寄りたちの退屈で空虚な生活を作り出してしまったのではないだろうか。

 

孤独感・無力感・退屈感。ハーバード大学のメディカルスクールにて医療を学んだトーマス博士は、老人ホームに住むお年寄り達はこの“三つの病”に苦しんでいるのだと考える。医学の進歩により、老人ホームに住むお年寄りの“身体的な病気”に対する処置の質が向上した一方、精神的また生活面においての充分なケアはなおざりにされてきた。トーマス博士は、医療第一主義の老人介護のしくみが、このようなの“三つの病”を作り上げてしまったのだと提唱している。

 

多くの老人ホームにおいて、車椅子に座ったお年寄りたちが廊下に一列に並び、ぼんやりした目つきでどこともなく眺めている、といった光景をよく目にする。彼らは、医療の充実により、身体的なケアは充分に受けているのだが、心の病の方は処置されぬまま、このような空虚な毎日を送っているのだ。トーマス博士は、老人専門医として老人ホームに勤務した際、この孤独感・無力感・退屈感という病により、多くのお年寄りが毎日苦しみ、さらにその病が彼らを死に至らせていると確信したのだという。では、どうしたらこの3つの病を癒す事が出来るのだろうか?エデンオルタナティブはこの3つの病を老人ホームから取り除くために生まれた考え方である。

 

エデンオルタナティブの考え方は、どのような解決方法があるといっているのだろうか?トーマス博士は、老人ホームを“人間が本来住むべき環境”にする事が解決につながると提唱する。そのためには、まず“施設”(Institution)という概念が取り除かれなければならない。これまでの老人介護の状況は、老人ホームという“施設”に入れられたお年寄り達が、同年代の多数の入居者と共同生活をし、施設側に決められたスケジュールに従い、そこで働く従業員に面倒を看てもらって生活するといったものだった。その環境では、お年寄り各個人の個性や好みが尊重されず、まるで病院の入院患者のような、厳しい生活規制が敷かれている。

他に存在する同じ様な“施設”という観念には、刑務所の生活環境が挙げられる。これまで社会を支えてきたお年寄りたちが、このような刑務所と同じカテゴリーに挙げられる、“施設”という環境に住むのは全くおかしな話なのだ。しかし、我々は社会的に定着してしまった病院のような“老人ホーム的環境”のイメージに慣れ、それが次第に当然の観念となり、その状況を疑問視しなくなっているのが現状なのではないだろうか。エデンオルタナティブの考え方は、老人ホームイコール“施設”という考え方を一掃し、そこに住むお年寄りも、働く従業員も、共に楽しみ、またお互い人間として成長しあえる、“人間が本来住むべき環境”にする事が、老人ホームに住むお年よりたちの心の病を解決することにつながると提唱しているのだ。

 

エデンオルタナティブは1991年に、トーマス博士と彼の妻である、ジュディマイヤーズ・トーマスによって、ニューヨーク州のある老人ホームにおいて初めて実践紹介された。先に飛べた3つの病 「孤独感・無力感・退屈感」を取り除くために始められたエデンの考え方は、とてもシンプルなものだ。人間の本来住むべき環境を創るために、1.お年寄りにとって馴染みのある環境、関係をつくる、2.動植物また子供達との交流により、張り合いのある生活作りを手助する、3.職員がやりがいを感じられる職場環境をつくりだすという事なのだ。

この環境を創るためには、老人ホームで働く人も、入居者のお年寄りも、人としてお互いに尊敬しあう事が大切だ。 エデンオルタナティブは、「管理職がとるスタッフに対する態度が、そのままスタッフの入居者への振舞いに反映する」と提唱する。入居者にこんなふうに接してほしいと考えるのなら、それと同じ態度や雰囲気で介護スタッフを処遇する必要があると教えている。エデンオルタナティブの考え方を取り入れている組織では、互いが尊重しあう雰囲気の中で、動物・植物・子供達を高齢者の住環境に取り入れることにより、バラエティに満ちた活気のある環境にし、お年寄り達が生き甲斐を感じられる生活の場にしていく努力を日々行っているのだ。

 

日常の生活において、人は様々な年齢・人種・職業を持つ人々、そして動植物に囲まれて生活している。しかし老人ホームでは、限られた同年代の人のみが団体生活をしており、バラエティに富んだ交流が極端に限られている。この状況は、実社会で人間が生活していくという観点から眺めると、とても不自然な事なのだ。エデンオルタナティブは、老人ホームにおけるこの不自然な環境がお年寄り達の生活を空虚なものにし、さらに精神的に苦しめていると考える。この多様性のない限られた環境に、“生きている物”を取り入れる事により、常に面倒を見てもらうばかりのお年寄り達の生活の中に、動植物また子供達の面倒を看てあげるという機会を作り、お互いの信頼関係を作り出す事が出来るのだ。誰かの役に立っているという気持ちを持つ事、そして親しい仲間に囲まれて生活するということは、人として生きていく上で欠かせないことであり、その事が、老人ホームに住むお年寄りたちの生き甲斐を見つける手助けとなる。

 

0年間のエデン普及活動、そして実践の経験を通して、エデンオルタナティブは、その考え方を浸透、定着させていくために、継ア的な教育が重要である事を学んできた。動物・植物・子供という外見的に目新しいものの導入以前に、まずは組織、そしてそこで働くスタッフの老人介護に対するこれまで定着していた固定観念を変えていくことが、エデンオルタナティブの成功への不可欠要素であると教えている。これは、これまでの病院のようであった老人ホームという、“施設”の都合で形成されていた組織、介護パターンを、お年寄中心とした介護環境にしていこうというもので、現在全米で注目されている「カルチャーチェンジ」と呼ばれる動きである。管理職、看護婦、実際に介護を行うスタッフ、そして入居者、といった縦組織をなくし、老人の都合を第一に考えた介護を行う。そのためには、入居者に一番近い所で働く介護者に、もっと決定・採択権を与え、管理職はその手助けをするといった仕組みに変わるのが理想の形態なのである。

 

老人ホームがエデンオルタナティブの考え方を取り入れ、それを深く浸透させエデンオルタナティブの本部から「エデンオルタナティブの認定施設」としての認証を受けるまで、少なくとも1年半から2年の期間がかかるとされている。1・2年という期間が長いと受け取られることもあろう、しかし組織全体の変換をし、従業員、また入居者や家族の、従来の老人ホームに対する考え方をエデンオルタナティブの考えに変えていくには、この程度の準備期間は最低限必要なのである。

エデンオルタナティブでは、この変化の期間を“Eden Journey”(エデンの旅)と呼んでいる。この旅の途中では、晴れた日もあれば、雨や風で全く身動きが取れない日もある。エデンオルタナティブの旅を決意した組織は、このような経緯を重ねつつ目標に向かって少しずつ近づいていくのだ。

 

エデンオルタナティブという新しい風を、従来の古い考え方の根付いた環境に取り入れる際、変化をおそれる者達からの“反抗”にあうのはとても自然な事である。組織に属する人々は変化に対して非常に敏感である。これまで慣れ親しんだ、心地よい環境を侵されるという不安、そしてこれまで手にしていたパワーを失ってしまうという恐れが、変化に対してのネガティブな対応に変わってしまうからだ。しかし、エデンオルタナティブは、変化への抵抗を認知したうえで、これまでの老人介護の欠点を指摘し、これまでのやり方をお年寄り中心の環境に変えていく事をさらに強く提言しているのだ。

エデンオルタナティブのやり方に対する反抗を乗り越え、エデンの旅の初段階を卓越した組織にも、次の試練が訪れる。これまでにない正しい介護をしているという意識から、エデンの旅が追い風と共に進んでいるうちに、重い壁にぶつかる時期が必ず訪れのだ。その時、また初心に戻り、皆で力を合わせてその壁を乗り越え、さらに次の段階へと旅を続けて行かなければならない。現在、このジャーニイに取り組み、エデンオルタナティブ認定施設として登録している施設はおよそ250程ある。また、多数の施設が現在認定を受ける前のプロセス中である。ここで念を押しておきたいのは、認定を受けたからといってエデンの旅が終わるのではないということだ。人間の成長と同じ様に、それぞれの組織が、様々な形で、更なる成長をしていくことがエデンオルタナティブの理念なのだ。

 

ここで、エデンオルタナティブの認定施設になるためのプロセスを簡単に紹介したいと思う。 正しいエデンオルタナティブの考え方を広げていくために、全米各州・オーストラリア・ヨーロッパにおいてエデンアソシエイト認定研修が行われている。この研修は、ニューヨークのエデンオルタナティブの本部から認定された、地域コーディネーター(Regional coordinators)によって行われる。この研修において、4日間をかけ“エデンの10理念”(別紙参照)を基本に、エデンオルタナティブの基本的な考え方を学ぶことになる。この研修では、教科書を前に机について学ぶようなものではなく、もっと楽しい雰囲気のもとでエデンの求める老人介護のあり方を、体を動かし身をもって体験できるような内容になっている。エデンオルタナティブのイメージに 「エデンオルタナティブ=動物+植物+子供達」という方程式が存在する。しかし、この研修を通して、本来のエデンオルタナティブの教えが、目に見える変化より、もっと深いものである事を学ぶ事になる。

 

この4日間の研修を終えると、エデンアソシエイトとしての、認証を受ける。その研修を終えて初めて、エデンアソシエイトはそれぞれの施設に戻り、それぞれの立場でのリーダーシップをとりエデンオルタナティブを始める事が出来る。エデンオルタナティブ施設としての認定を受けるには、施設長と、少なくとも一人のスタッフがエデンアソシエイトであることが条件だ。多くの施設では、複数のエデンアソシエイトがリーダーシップをとり、他のスタッフへのエデンオルタナティブの教育を通して、彼ら特有のエデンオルタナティブの環境創りに力を注いでいる。

 

従来の高齢者介護のやり方を変え、エデンオルタナティブの提唱するやり方に変えていく事は簡単な事ではない。そこに住むお年寄り、家族、働くスタッフ、マネージメント、すべての人がこれまでのやりかた、考え方を変えていかなければならないからだ。ここでの一番のハードルは、従来の階層的な組織のやり方を崩し、誰もが同じレベルで老人介護に取り組み、発言力をもてる組織に変えていくことだろう。先にも述べたが、誰しも“変化”に対して抵抗を感じるものだ。それは、慣れ親しんだ状況はとても心地よく、安心を感じるからだ。エデンオルタナティブを始めるという事は、組織の様々な分野での“変化”をもたらすという事で、精神的にも身体的にもかなりのエネルギーを必要とする。このような困難な“変化”を地域コーディネーターとメントーと呼ばれる指導者達が、身近にいて手助けしてくれる。

 

では、地域コーディネーターや、メントーはどのような人たちなのだろうか。地域コーディネーターは、エデンオルタナティブの考え方への理解と経験をもとに、ニューヨークの本部から選考、認定を受けた者達で、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアを合わせて、現在18人(2003年4月時点)で構成されている。彼らは、エデンオルタナティブの正しい理解を広めるために、担当地域でのエデンアソシエイトを育てるための研修、エデン認定施設のサポートと監督、担当地域での問い合わせへの対応、等様々な任務を担当している。

現在、それぞれの地域を1または2人のリージョナルコーディネーターが担当している。エデンオルタナティブがますます拡がっている現在、エデンアソシエイトの研修を行いつつ、全ての施設に対し常にアドバイスをし、さらに問い合わせの対応をしていくのはほぼ不可能な事だ。メントーは、エデンオルタナティブの実践・普及の経験実績をもとに、地域コーディネーターによって選定され、ニューヨークの本部から認定を受けた者達だ。彼らは、地域コーディネーターと密接な関係にあり、各ホームにおけるエデンの旅を手取り足とし手助けしてくれる存在なのだ。このように確立されたサポート体制により、エデンオルタナティブの質は保たれている。

 

このエデンオルタナティブのプロセスは、植物を栽培するようなものだ。組織の改善やフタッフへの教育は、エデンオルタナティブという種を撒くため土壌作りの段階である。美しい花を育てるのに一番大切なものは、種を撒く前に良い土壌を創り上げる事だ。強くて温かい土壌が出来ていないうちに、いくら種を撒いて水をあげても、芽は出てこない。これは、動物・植物・子供達を老人ホームに紹介する前に、それらを受け入れる土壌が出来上がっていなければ、その効果は期待できないのと同じである。むしろ、現状において既に人手の足りていない高齢者施設がもっと混乱した環境に陥ってしまう。この土壌作りを通して、老人ホームで働く人、そこに住む人が、ともに個人的なレベルでのお互いの事をいたわりあえるようにしていく。そうする事により、これまでの冷たい病院のような施設の雰囲気を、お年より達の“住む場所”に近づいていけるのだ。

温かい土壌が出来た上で、動植物、子供達を取り入れ、お年寄りたちがそれら生き物の面倒を看ることにより張り合いのある毎日を送れる環境を創る。エデンオルタナティブは、定期的に決められた、レクリエーションではお年寄りたちの心の病は癒せないと考える。例えばペットセラピーのように、一週間に一度のレクリエーションというのではなく、老人ホームに住むペットというかたちで紹介するのだ。また、園芸療法をアクティビティとして取り入れるのではなく、お年寄りたちの日課の一部として取り入れる。をこれが、老人ホームという“施設的”環境から、普通の家での生活に近いものにするのだ。“人間が本来住むべき環境”にするということは、介護が必要になったお年寄りたちも、馴染みのある環境もとで、これまで慣れ親しんだ生活パターンを継続できる場所にしていくという、ごく普通な事なのだ。

ここで付け加えておきたいのは、温かい土壌が種を撒いたからといって、その後の手入れを怠れば植物はすぐに枯れてしまう。水をまき、ときには肥料を与えてあげなければ美しい花は咲かない。また気候の変化で突然“霜”により、植物がだめになってしまう事もある。エデンオルタナティブに取り組むほぼ全ての施設は、この突然の霜を経験する事となる。これは、リーダーの人事異動や、職員の心の緩み、また不安等による、停滞期のことである。この霜に直面した際に、エデンオルタナティブ本部、また他のエデンオルタナティブ認定施設からのサポートと共に、これまでのやり方を見直し、この壁を乗り越えていかなければならない。この壁を乗り越えた時、その組織はよりいっそう団結した組織となっているのだ。

 

ここで、アメリカのノースダコタ州にある、イーラムホーム(Elim Home)というエデンオルタナティブの認定老人ホームを取り上げたい。このホームは、スキルドナーシングホーム(日本でいう特別養護老人ホーム)で、には127人の入居者が住んでいる。1997年からエデンオルタナティブの考え方を初めて取り入れ、3年間のプロセスの後2000年に認定ホームとして、レジストリーを果たした。

このホームには、4匹の犬、8匹の猫、3匹のウサギ、2つの水槽に住む魚、そして多くの鳥達が、お年寄りたちのペットとして生活している。また、たくさんの植物がいたるところに置かれており、お年寄りたちが職員と一緒に手入れをしている。さらに、このホームの一角には、働く母親のためのデイケア施設があり、子供達がお年寄り達とともに昼間の時間を過ごしている。

このホームに足を踏み入れると、そこには暗くて寂しい老人ホームといったイメージは全く感じられない。廊下では子供達の笑い声や鳥の鳴き声が響き,また動物達がお年寄りたちの車椅子の周りを歩き回っている。リビングルームでは、家庭的な家具が置かれ、そこで家族や友人達とテレビをみたりおしゃべりをするお年寄り達が見受けられる。時には、廊下を犬と散歩している入居者も見かける

 

このホームでは、全職員に対してエデンオルタナティブの教育が定期的に行われている。この教育を通して、お年寄りたちと接する際に、患者としてではなく、このホームの住人の手助けをするという態度が徹底している。ここでは、お年寄りたちが多くの決定権をもち、レクリエーションや食事など、お年寄り達の日常生活に関する事は、レジデントカウンシルと呼ばれる入居者による会議によって全て決定されるという仕組みがとられている。また廊下やリビングルームに飾られる絵や写真、また部屋の飾りなどは入居者で構成された美術委員によって、彼らの好みにより定期的に選考、決定されるのだ。この他にも、お年寄りを中心とした動物委員・植物委員・子供委員というグループが形成されており、職員はそれを手助けするという役目を果たしている。

 

このホームは30年前、医療先行的な高齢者介護が行われていた時期に建設されたもので、建築の面から見ると、お年寄りの都合よりスタッフの都合や仕事効率を優先したデザインで、家庭的という概念からは程遠い環境である。しかし、職員と入居者の個人レベルでの繋がり、お年寄りの元気な顔、そして動植物や子供達の存在が、この建物の持つハンディをカバーし、温かく、心地よい環境を創り上げている。エデンオルタナティブの導入により、ハードの面で限界のある変化を、ソフト面の質の向上という形でこのホーム全体の介護の質を高める事に成功した良い例であると思う。

 

このような雰囲気を作り上げるために、このホームでは教育に多くの時間がついやされてきた。介護の現場は、シフト制で動いており、違った時間に働く職員全員を教育するのは大変な事だ。このホームでは、全シフトをカバーするために朝・昼・夜とトレーニングが行われる。そうする事により、全てのシフトをカバーする事が出来るからだ。職員全員に合計3回のトレーニングに参加する事が義務付けられており、エデンオルタナティブの考え方をホーム全体に徹底させるための努力が続けられている。この様な、継続的な教育とお互いの励ましが、入居者だけでなく、そこで働く職員、そして訪問してくる家族にとっても、楽しく活き活きした環境にしているのだ。

 

全米だけでなく、介護政策の進んだ北欧各地でも指示されているこのエデンの考え方は、特別新しい発想の元に成り立っているものではない。トーマス夫妻は、「エデンの考え方は、特別新しいものではない。近代社会の発展とともに人々の心から次第に忘れられてしまった、昔から存在する人間社会の当然の道理を、改めて伝えているのだ」と言う。彼らが伝えているメッセージは、非常にシンプルで、「人の気持ちになって考える」「人にして欲しくない事は、自分もしない」「人に対して思いやりをもつ」「お互いを尊重する」ということなのだ。これは、老人ホームの介護に対してだけでなく、人として日常生きていく上でも、非常に大切な事なのだ。

 

私個人、幼い子供の頃、おじいちゃん・おばあちゃんの家に遊びに行くのは楽しみだったという思い出がある。コタツに座って編物をしているおばあちゃんの手つきや、眼鏡、白髪、お茶菓子、お茶の入ったお湯のみ、なんでも特別に見えて、興味津々におばあちゃんの持ち物に触れた事を今でも覚えている。その頃の私にとって、お婆ちゃんは、お父さんやお母さんよりもっと何でも知っている“スーパーウーマン”だった。両親と違ってお婆ちゃんは余り怒らず、いつも楽しそうに色々な事を教えてくれた。このような思い出を持つ私と同世代の方は、他にもたくさんいる事と思う。

 

今、辺りを見回してみて、幼い頃にお菓子をくれて、一緒に遊んでくれたおじいちゃんやおばあちゃんが楽しんで住める、そして自分の毎日子供を連れて遊びに行きたくなるような高齢者施設があるだろうか?現在私たちの周りにある老人施設の多くはは、外観も内装も病院のような環境で、清潔できれいな施設に住むのが、お年寄り達にとって良い事だと勘違いしているのではないだろうか?エデンオルタナティブが提案しているように、今後の老人ホームはもっとお年寄り達にとって、身体的なハンディのサポートだけでなく、精神的に充実した生活を送る事が出来る場所にしていかなければならないと思う。

 

 

エデンオルタナティブの内容は、下記のウェッブサイトからご覧になれます。

http://www.edenalt.com

 

また、日本語での問い合わせは、edenjapan@edenalt.comまでお願いします。

 

 

 

『老人施設の「生活の質」と芸術の役割』