第10章

芸術プログラムを取り入れた高齢者施設訪問機

常田益代  TOKITA Masuyo

 

はじめに

2002年9月7日~9月25日にかけ、ドイツ、スウェーデン、オランダにおける高齢者の居住環境を視察した。その主な目的は次の3点である。

1)高齢者の居住環境にたいする基本的な考え方と運営方針について聴く。

2)高齢者用住居の建築例と実際の住まい方を視察する。

3)高齢者の居住環境の中に芸術プログラムがいかに導入されているか視察する。

 

今回視察したさまざまな施設や病院、集合住宅の中から、ここでは運営組織、規模、立地条件、建築形体、入居者の心身の健康度においてそれぞれ異なるものの事例を選択し報告する。ここに挙げる例は、建築とその内外に属する物と空間のデザインがいかに大きく高齢者の「生活の質」を向上させることができるかを示している。一人の人間の自立と尊厳を保つための助けとして、建築と日常の品々のデザインは生活の中にいかに介入しうるか、またいかに介入すべきか。この問いの答は一つではないだろうし、自立を助けるための建築/デザイン介入の対象は、無論、高齢者の生活に限られるものでもない。それは年令、性別、心身の状態を問わず、万人に向けられねばならないだろう。そのことを踏まえた上で、本報告が高齢者の居住環境にとくに焦点をあてるのは、人生の晩期を迎えた多くの人が住み慣れた自分の本当の家庭(home)を、ある時点で離れねばならなくなるからである。高齢期に入ってから死を迎えるまでの時をいかに自立した個人として楽しい日々を過ごすことができるか。誰もがいずれ向かい合わねばならない問いである。ここに挙げる事例は、高齢者の「生活の質」と自立と精神の健やかさを助けるために、その居住環境に何が求められているか、ということを考える時のヒントになるであろう。

本報告のタイトルに敢えて「施設」という言葉を避け、「高齢者の居住環境」という言葉に置き換えたのは高齢者の住居形態の多様化と「脱施設化」が進行しているからである。先進諸国における高齢者の居住環境に対する考え方の潮流としては、ナーシングホームから介護付き集合住宅へ、管理型施設から家庭的住居へと移行している。

 

訪問期間:2002年9月7日~9月25日

訪問先:ドイツ、カリタス聖アンナ・ハウス、

 スウェーデン、ヤーナ村ヴィーダルクリニーケン、シルヴィアホーム

 オランダ、ロッテルダム、ユマニタス・アクロポリス、

ユマニタス・デルーヴェンホック

訪問者:ダーリング・ブルース(九州保健福祉大学、研究代表者)

       常田益代(北海道大学、研究分担者

 

1ドイツ

カリタス聖アンナ・ハウス (写真1〜5)

所在地:Caritas St. Anna Haus, Holzkirchen

Krankenhausstraze 10

83607 Holzkirchen, Germany 

訪問日:2002年9月10日(火)

面談者:ペーター・ロスナー、所長(Rosner Peter, Heimleiter)

医学博士 バーバラ・ヘルツベルガー、ミュンヘン大学、医療心理学

(Dr. Med. Barbara Hezberger, Institute for Medical Psychology, Univ. of München)

 

 カリタス聖アンナ・ハウスはミュンヘンから車で一時間半ほどのところに位置するホルツキルヒェン(Holzkirchen)にある。いかにもドイツらしい清潔で静かな郊外の街である。案内のパンフレットには「カリタス聖アンナ・ハウス」という名称のあとに、「高齢者のための生活形成とケア」(Caritas St. Anna Haus, Lebensgestaltung und Pflege für alte Menschen)という副題がついている。

 

運営上の配慮と特徴

カリタス聖アンナ・ハウス(以下聖アンナ・ハウスと略記)の目的は健康な高齢者と介護を必要とする高齢者125人に、新しい故郷(Heimat)として意味のある質の高い生活の場を提供することである。聖アンナ・ハウスは次の4種類の生活居住区から成っており、いづれも病棟とは呼ばない。

 

補助付き居住区(Assisted living)、15人

老人性精神科居住区(gerontopsychiatric quarter)、25人

短期入居者用居住区(在宅高齢者を介護する人の息抜期間のみの短期入居)

看護付き居住区(nursing beds)

 

 聖アンナ・ハウスの入居者は男女合わせて125人である。その内110人はなんらかの介護を必要としている。これに対しスタッフは90人いる。スタッフの70%は訓練をうけた看護婦(trained nursing)であり、この比率は国内平均の50%に対しきわめて高い。全体の15%が登録看護婦(registered nurse)、55%が老人特別看護教育(special care elderly)を受けた看護婦で、残りの30%はボランティアによる。ボランティアは研修プログラムを受ける。聖アンナ・ハウスにおけるスタッフの転職移動率は年5%-10% で、全国平均の20%よりはるかに低い。

 「聖アンナ・ハウスの費用は安くはないが、それだけの価値はある。」とロスナー所長は胸を張る。実際、供給(部屋数)よりも需要(入居希望者)が高く、入居者は順番待ちの状態である。また聖アンナ・ハウスに入居するかどうかを決める前に、仮入居するお試し期間がある。入居者一人あたり1ヶ月4000~6000マルクの補助金が出るので財政的にはよいそうだ。

入居者は病人である以前に人間であるということをモットーにし、入居者の自立と人間としての尊厳を何よりも重視する。介護にあたる人はまず入居者に対し常に肯定的に、疾患があることを気付かせないように接するよう教育される。入居者を閉じ込めたり孤立させること(ghetoisation)はしない。

入居者との関係で重要なことは、介護者は入居者のこれまでの人生の話(narrative、自伝)に耳を傾けることである。日々の仕事では入居者の生活記録(Biographical work)をつける。また入居者の社交の時間、会話の時間、コミュニティーとの交流の時間を重視する。こうした観点から、食事は栄養補給であるばかりではなく楽しみの時間であり社交の時間として捉える。

 入居者に対しては人間対人間というもっとも基本的な関係を最優先させる。昇降機などの機器類は、動きが不自由になった入居者のトイレや入浴時に介護者の腰を痛めないように用いられるが、それ以外は可能なかぎり人間の手で行なう。機械の使用は最小限にとどめる。また機器類はなるべく入居者の目にはいらないようにする。

 

建築・環境設計

 『自立の核は「自分の」住空間である。たとえ高齢になり介護を必要とするようになっても。入居者は「収容」されたまま時を過ごすのではない。』[1] この考えにもとづく聖アンナ・ハウスの建築設計とその環境は感銘深いものであった。

 聖アンナ・ハウスは1960年に創設され、1997年に増築・改築工事が行なわれた(写真1)。建築設計はミュンヘンのランゲッカー(Langecker)が担当した。聖アンナ・ハウスのロスナー所長は木製オルガンの工匠としての経歴の持主である。この経歴が後に旧館の改築と別棟の増築工事を始めるに際し、その基本的な考え方に生かされることになる。それらは次の点にまとめられる。

1. 建築材には木を使用する。

2. 大きな箱物の構造物は造らない。

3. 設計にあたっては地域との繋がりを重視し、境となる塀はつくらない。

4. 庭とレストラン、それに隣接する集会室は地域住民との共有空間とする。

5. 自然環境と季節感を重視する。庭には池と小橋を設け、草花を植え、四季折々の変化を感じながら暮らすことができるようにする。屋上にはテラスを設ける。

6. 大厨房は作らない。かわりに10人から12人くらいを単位として調理ができる台所を各階に設ける。

7. 個室の天井は高く、窓は床までとどくようにし、開放感をだす。

8. 共有空間としてのラウンジをさまざまな場所に設ける。

9. 廊下を広くとり、作り付け長椅子をところどころに配置する。

10. 個室の入り口は左右2枚扉の外開きにする(廊下側に開く)。両方開くと寝台を通すことができるようにする。

 

アプローチから玄関ホール

 聖アンナ・ハウスは住宅が散在する田園に建つ。塀がないので道から4階建ての白い聖アンナ・ハウスの全景が見える。カリタス聖アンナ・ハウスという控え目のサインの脇を抜け、開かれた庭を通り、池にかかる小橋を渡る。橋をわたるとベンチの並ぶテラスがあり、テラスに面し、入居者と町の住人のためのレストランがある(写真2)。その先に玄関ホールがある。道路から玄関までは樹木と花と水と石畳みのアプローチで、階段は一つもない。

 玄関を入ると恰好の広さのホールがあり、季節感のある飾りつけ(藁人形に服を着せた収穫期の農夫)がしてある。壁には絵がかかっている。天気のよい日は高窓から入る自然光が気持ちよいであろう。右手が事務局、左手がレストラン、その前方に中庭が開け、中庭沿いの廊下の片側に集会室、突き当たりに礼拝室がある。

 アプローチのレストランは楽しみの時間、集会室は活動の時間、礼拝室は鎮魂の時間の場となる。これらの共有室が大きい分だけ廊下は長くなるが、廊下の天井も梁も窓枠もすべて木製であることと、片側がガラス張りで樹木の美しい中庭に面しているため、長い廊下のもつ圧迫感も施設っぽい通路としての単調さもない。

 

中庭

 建築が入居者の心理にあたえる影響は大きい。施設っぽい無味乾燥な感じにならないよう多々配慮されているが、その一つに中庭がある(写真3)。建物と建物の間の空間を中庭にすることによって外気と光を屋内に取り込み、樹木をたのしみ、騒音を消し、各室はプライバシーを確保することができる。中庭という「空」の空間は建物全体を美しくまとめ、かつ入居者の心をやわらげる。

 

集会室  

 集会室は多目的(演劇やダンスや音楽会の練習と発表会)に使用されるから何もない板敷きの空間になっている。町の住人との交流を促すように外壁をガラス張りにし、入り口を設けている。人口の小さい町では、高齢者施設と町民のためにこうした共有空間を建物のなかにつくることはよい。元気な入居者はコミュニティーの一員としての自覚を維持できるし、町民は入居者を訪問する機会が増えるだろう。

 

礼拝室

 ここは日々の祈りの場であり、葬儀の場でもある。「死」は回避できないものであるから、聖アンナ・ハウスでは入居者の「死」は秘密にしない。入居者は個人の意思により葬式に参列することができる。礼拝室は中央天井部が抽象画のステンドグラスになっているのを除けば、きわめてシンプルにまとめてある。宗教は特定の宗派に限定することなく、広く対応できるような形の十字が正面壁に架かっている。

 

食事室とレストラン

 食事の目的は単に生命を維持するための栄養補給ではない。食事は「楽しみの時間」であり「社交の時間」でもある。食事をしながら会話をする。声を出し言葉を使うことは重要である。

入居者は食事をとる場所を選ぶことができる。各階の食事室でも、1階のレストラン(写真2)でも、あるいはまた自分の部屋でもよい。各階の食事室はそれぞれ設計がことなるが、家庭的な雰囲気は共通している。食事の時間帯をのぞくと、食事室はラウンジとして用いられる。入居者の自立度はさまざまであるから、食事のとり方もいろいろである。車椅子でテーブルにつく人もいれば、食事をするのに助けを必要とする人もいる。料理は各階の台所で用意され、食卓の傍らで盛りつけられるから温かい。

地域の人々にも開放されている1階のレストランには、庭から直接入れるようになっている。入居者にとってこのレストランで食事をすることは「屋内外出」である。入居者同志がここで落ち合って食事を楽しむこともある。

 

移動空間(廊下、エレベータ、階段、踊り場)

 屋内の移動空間としては廊下、エレベータ、階段、踊り場がある。エレベータ前のスペースは広くとり、そこに長椅子や安楽椅子をおく。椅子に腰掛け、蒼青とした中庭の木々を眺めることができる。エレベータ前は、椅子のデザインばかりでなく、その他のしつらいも各階で変えてある。そうすることにより、入居者がエレベータから出た時、何階にいるのか分りやすくなる。例えば2階は金魚の水槽、3階は花籠、4階はクラフト、5階は観葉植物といった具合である。また動物好きの入居者のためにここには動物のためのスペースもある。

 廊下の幅が広いこと、手すりがあることは日本と同じだが、違う点は、1)廊下は片側負担(one side load)になっていること、2)絵や版画が飾ってあること、3)個室に通じる廊下はところどころ龕のように凹ませ、そこに長椅子を作り付け、ちょっと休んだり話しができる場所にしてあること、である(写真4)。

 階段を登ったところに12畳ほどの明るい開放空間がある。ここにも木製布張りの安定のよい長椅子や肘付き椅子がある。肘付き椅子は足の弱った人が立ち上がるときの支えになる。冷たく硬い感じの椅子、安定の悪い椅子、軽すぎる椅子、角のある椅子は一つもない。古風な柱時計や足踏みミシンなどもインテリア・デザインの一部に用いられている。多少ノスタルジックな感もあるが、入居者の若い頃の生活体験と深く結びついた調度類は痴呆のはじまった入居者に安心感を与える。

 階段の手前には取り外し可能な腰ほどの高さの円柱が2本たててある。これは階段から車椅子が落ちないようにする事故防止策である。

 

テラス/ベランダ

 廊下から屋上テラスやベランダに出ることができる。こうした空間にも鉢植えの花を飾り、ベンチや大きなパラソルとテーブルセットを配置し、天気のよい日には入居者が部屋を出て外気に触れながら談話や読書や日なたぼっこができるようにしてある。屋上からは町の住宅がみえる。境界となる塀がないことは、聖アンナ・ハウスの施設を視覚的にも「収容」という感じを排除している。

 

個室

 聖アンナ・ハウスには個室が109室、二人用が9室ある。二人用は夫婦用と一人でいることに恐怖心をもつ人のために用意されている。二人用ユニットは別々の2部屋が扉でつながっている。夫婦用の場合は寝室と居間があり、別々に眠ることが可能である。

旧館の個室は22F、新館は18Fにバルコニーがついている。各室にはバスルーム(トイレとシャワー用椅子)、作りつけ収納、テレビ/電話回線をつけ自立した生活の支援になっている。ベッド、ナイトテーブル、スツール、テーブルは部屋についているが、安楽椅子、長椅子、テレビ、ステレオ、その他の調度類は入居者が持ち込む。個人の使い馴れたお気に入りの家具で、自分の生活と趣味にあった部屋づくりをすることは大切だ。品々は「物」であると同時に物を媒体とした個人の「記憶」でもある。身の回りの品々が施設で統一されたものというのでは、これまでの人生から突然切り離され、身一つで「収容」されたような気持ちになるだろう。

 私達が見学させてもらった部屋は男性のものだった(写真5)。室内の天井は高く、大きな窓の向こうにベランダと中庭の緑がつづく。木製の家具(ベッド、キャビネット、タンス)に黒で統一した安楽椅子とテレビ、ステレオという落ちついたしつらいだ。壁(白塗装)には絵や家族の写真が飾ってあり、床にはサモンピンク色のペルシャ絨毯があった。照明は天井から下がるペンダント型の白熱灯以外は、すべて安楽椅子の横などにスタンドが配置してある。ここは日本のワンルームマンションの部屋よりも心地よさそうな印象をうけた。

 廊下から各個室に通じる扉はいわば住宅の玄関に相当する。この扉の横に名札というよりもむしろ表札を出し、各自が好みの飾りつけをすることできる。これは痴呆の人が自分の部屋にもどる時の助けにもなる。車椅子や寝台を回転しやすいように、扉の前で廊下は幅広になっている。

入居者に特別の看護が必要となった場合は看護付き居住区に移る。また特別の看護ベッドが必要になった場合は聖アンナ・ハウスで提供する。

 

活動プログラム

聖アンナ・ハウスの紹介とその芸術プログラムについては、ミュンヘン大学医療心理学研究所のバーバラ・ヘルツベルガー博士の論文に紹介されている。[2] 週に一回、ボーリング、読書会、記憶ゲームが開かれる。また映画鑑賞会、音楽療法、四季の祭も開催される。この地域の幼稚園児が週に一回、聖アンナ・ハウスを訪れる。ここには特定の美術室はないが、入居者が美術作品を作るスペース(食事兼ラウンジ室など)は多々あるし、作品は廊下やロビーをはじめ建物内のさまざまな所に飾ってあった。また活動ではないが、入居者の心身の健康に関わることとして、動物を飼うことが許可されている。

 

2 スウェーデン

ヴィーダルクリニーケン (Vidarkliniken, Vidar Clinic)(写真6〜10)

S-153、91 Järna, Sweden 

Homepage: www.vidarkliniken.org

訪問日:2002年9月15日(日)

面談者:フローリアン・ピーチ Dr. Florean Pietsch

 

理念と環境と建築

 ヴィーダルクリニーケンはストックホルムの南およそ50km、バルト海に望むヤーナ村(Järna)にある。羊や牛が放牧されたのどかな田園風景の中を走っていると、その遠方にピンクや青のパステルカラーに彩られたシュタイナーセミナー(以下シュタイナー学校共同体と記す)の群棟が見えてきた。

 

哲学者であり、教育者であり、また建築家でもあったルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner, 1861~1925)が確立した人智学(Anthrosophy)を実践するヤーナ村のシュタイナー学校共同体は1960年代からはじまった。ここでは教育(小学校、単科大学、ゼミナール)、農業(有機栽培、薬草)、酪農、芸術(建築、音楽、絵画、彫刻、工芸)、医療(リズム均衡運動、美術・音楽療法、マッサージなど)といった人間の様々な営みが分化されることなく、自然の生態系という大きなシステムの中で捉えられている。ヴィーダルクリニーケン自体は学校共同体の一部としてはじまったものではなく、この学校共同体の南に隣接して1985年に開設された。ヴィーダルクリニーケンは病院、外来診療所、職員住宅からなり、これらの建築はシュタイナー学校共同体のすべての建物同様、デンマークの建築家エッリクG.アスムセン(Erik G. Asmussen)によって設計された。

 

ヴィーダルクリニーケンでは10人の医師と100人以上の看護婦と大勢のボランティアが働いている。財政基盤はシュタイナー医療に賛同する支援者の寄付金にある。スタッフの給料は低く生活が大変であり、病院の諸経費も切り詰めているという。ヴィーダルクリニーケンに来る患者には慢性疾患や心の均衡を失った人、あるいは西洋医学に限界を覚え代替療法を求めて来る人が多い。療養期間は通常2〜4週間続く。ここで働く医師は西洋医学を学んだのち、シュタイナー医療を修める。精神科の勉強も必須であるという。精神科の勉強が特に重視されるのは、ここでいう「健全な人間」とは、ホーリスティックなアプローチによる「身体」と「魂」と「精神」の調和と均衡を取り戻すことにほかならないからである。

 

治療

 人智主義にもとづくシュタイナー代替医療については、服部友香氏の研修体験記『スウェ−デン見聞録、私がシュタイナー病院で学んだこと・・・ヴィーダルクリニーケンの代替医療』で楽しく分りやすく紹介されている。[3]

人間一人一人の尊厳を大切にするヴィーダルクリニーケンでの療法は、人間の五感をこころよく刺激し、刺激のプロセスが喜びと自信につながる。たとえ病気が完治しなくとも、自分の中にある(あるいは残された)健やかな生を認識し、それを肯定すること。そのための療法といってよいのだろう。シュタイナー人智医学(Anthroposophical Medicine)の代表的な治療法に次のものが挙げられる。

 

入浴とマッサージ

 香りのたかいオイルをつかったオイルマッサージは、手から伝わる優しくリズム感のある動擦が安らぎを与え、不安、苛立ち、ストレス、不眠に効果がある。香油マッサージ室は自然光が仄かに入る地階にある。薬草入浴も血行と代謝をよくし、筋肉の懲りをとり、リラックスさせる。薬草担当者が個々の患者の症状にあわせ、薬草を組み合わせる。

 

オイリュトミーとダンス

オイリュトミー(Eurhythmy, 英語読みではユーリズミー)という単語の綴りの中にリズムという語が含まれていることから分るように、全身を使ってする律動的な運動療法である。報告者は実際のオイリュトミーを見学できなかったが、「アルファベットの母音や子音に合わせた動きの中に、臓器に効果のあるものがあり、必要な動きが処方される」[4]という。ヨガや太極拳の気孔体操に似ている。病院とは別に、シュタイナー学校にも独立したオイリュトミー館がある。

また患者は週に2回、朝にボートマ・エクササイズというダンスを何人かでまるくなってする。音楽に合わせて身体を動かすことは血行をよくし、心臓疾患、アズマなどに効果があるという。ダンス室は集会室を兼ねている。

 

芸術療法

芸術療法には美術療法と音楽療法がある。オイリュトミーとダンスを芸術療法のカテゴリーに入れてもよいだろう。じっさい東棟の2階にはさまざまな芸術プログラムを行うための絵画室、彫塑室、音楽室、オイリュトミー室、ダンス室が並んでいる。これらの部屋の窓から、牛の放牧された田園風景とその彼方にバルト海を眺めることができる。

 

音楽療法 (Musical therapy and singing exercises)

報告者が訪問した日は日曜日であったため、音楽室は見学できなかった。しかし資料を見ると金管・木管楽器、弦楽器、民族楽器、単純な笛やトライアングルの類まで含まれている。リュートの形をした弦楽器はシュタイナーの売店で試すことができた。複式呼吸法による発声でさまざまな擬声音や効果音のような音を出すスィンギングは血行をよくし、心の安らぎを取り戻すのに効果があるという。

 

美術療法

 美術療法は隣り合っている絵画室と彫塑室(写真6)で行われる。絵画はTherapeutic Paintingと呼ばれる。絵画室の中央に大きな作業机があり、高い窓から入る光が美術室を柔らかく照らす。いかにも北欧らしい白い光だ。数名の患者の作品がどれも連作として壁に貼ってある。連作の中に患者の心身の変化を追うという説明だった。作品はそれぞれ異なるが、色調が一様に虹色なのが報告者には気になった。

 彫刻はModelling therapyと呼ばれるから、正確には彫るのではなく塑である。この部屋には、粘土や木で制作したすばらしい作品が多数ある。患者は創作をはじめる前に、まず、実際の石を手の中に入れ、石を触り、握り、その重さと質感と形を触感する。つぎに粘土を手の中で握る。粘土は質量を変えないが、創り手の心の動きをその形体に正直に記録する。それから創作にとりかかる。どの作品もいい。なかには、ブランクージを思わせるような彫刻まである。ここで制作された作品は廊下や窓辺に展示されていた。まるでギャラリーのようである。

リズムに合わせ身体を動かすことの楽しさ、個々の楽器のもつ美しい音、色彩の響き、面白い造形、粘土や石の快い感触と重さ、創造のプロセスを知ることの喜び、こうしたことが魂を開放し、癒し、精神の健康につながるのだろう。そして芸術には自己の中の情念を吐き出し、それを美という形に昇華させる働きがある。

ヴィーダルクリニーケンにはテレビがない。その代りにコンサート、文学講演会、展覧会、年中祭事など様々な文化活動を企画している。自然の中の散歩もある。

 

食事療法

 食事は栄養の摂取、味覚と社交の楽しみに加え、治療の一部でもある。ヴィーダルクリニーケンでは野菜と乳製品を中心にした準菜食献立がくまれ、週に一度魚がでる。肉は稀である。癌、リューマチ、糖尿病、多発性硬化症(Multiplesclerosis), 胃腸障害(gastro-intestinal disorder)を病む患者には特別食が用意される。

 

会話

 狭義の療法ではないが、健康を取り戻すために療法とおなじくらい大切なのが会話である。そして心のケアに欠くことのできないのが、患者の話をよく聞くことである。医師や看護婦はゆっくり時間をかけ、患者の話を聞く。食事は患者と看護婦、ボランティアが一緒にする。その他、病棟のあちこちに設けられた共有空間で患者同士が話をする。デイ・ルームと呼ばれる一種の居間には暖炉があり、布張りの長椅子と安楽椅子がほぼ円形に並べてある(写真7)。施設っぽい大きな多目的室ではなく、適度の大きさとくつろげる家具の選択により家庭的な落ち着いた雰囲気の部屋になっている。子供の玩具もある。しかしテレビはない。そのことが患者同士の会話のはじまりにつながるという。

この居間に隣接して小さな台所があり、患者がお茶をいれたり、お菓子を焼いたりして、それをこの居間で楽しむことができる。

 

ヴィーダルクリニーケンの癒しの建築

 ヴィーダルクリニーケンでは人智学と医療と建築環境が不可分である。つまり人智医療を行う箱として建築をつくるのでもなく、逆に建物があって、そこで医療を行うのでもない。建築は、「身体」と「魂」と「精神」の健全な均衡を取り戻すための医療法の一端を担っているのである。ヴィーダルクリニーケンのパンフレットには、「ヴィーダルクリニーケンはさまざまな療法の中で可能なかぎり生活の質を高めることに最大の努力をはらう。美しい建築と色彩、病棟の室内装飾における自然の素材は芸術的な価値が治療に効果的であることをしめす一例である。」とある。[5]

 

 ホーリスティックなアプローチによる癒しと建築がいかに不可分であるかはヴィーダルクリニーケン設立の経緯を繙くと理解できる。ヤーナ村のシュタイナー学校共同体の建築にあたったエリックG.アスムセン研究の第一人者であるコーツの本から要約する。[6]

ホーリスティックな治療センター構想のはじまりは1961年に遡る。人智的治療センターを建てようという強い動きが、人智的医療を研究する小グループの人達の間におきた。このグループの構成員はアスムセンを含む建築家、医者、看護婦、芸術家からなり、彼らはルドルフ・シュタイナーの説く癒しのプロセスに建築がいかに関わることができるか、ということに興味を抱いた。1975年、彼らは建築と運営組織と治療について議論を重ねる一方で、スイスや西ドイツにあるシュタイナー病院を視察した。また同年に開催したセミナーでは、原寸大の病室モデルを作り、ベッドと窓との関係やさまざまな色のペンキを実際に塗り、色彩効果の実験をした。

 

 紆余曲折を経てヴィーダルクリニーケンの建設が着工したのはそれから10年の後である。アスムセンはヴィーダルクリニーケンに先立ち、1960年代から始っていたヤーナ村のシュタイナー学校共同体において、画家やランドスケープ・デザイナーをはじめ、大勢の芸術家や工匠と仕事をともにし、芸術性が高く、生態循環にも優れたキャンパス環境をつくっていた。[7] 新たに始ったヴィーダルクリニーケンの建築も、アスムセンがシュタイナー学校の諸々の建物でしめした特徴と矛盾するものではない。その根底にある考え方は次の通りでる。

1)共同体としての特性と統一性を保ちながら、居住する個人の生活を大切にする。

2)マスタープランの作成にあたっては、個人の快い住空間を実現するために大規模な建物はさけ、人間の大きさからかけ離れることのない規模(human scale)の棟を関連づけて配置する。

3)住宅棟や病室は基本的に1日24時間いるところであるから、温かさと生きる力を与えつづける住環境をつくる。

4)この地域産出の自然の建材を用いる。

5)ストレスをあたえない建物にする。

6)安全で熱効率のよい建物にする。

 

 病院建築の設計におけるこのような考え方、つまり「ストレスのない癒しの建築の創造」はヴィーダルクリニーケンの規模、建材、設計(平面、立面)、採光、色彩、インテリアに見てとることができる。

 

規模:上記2)で述べたように、ヴィーダルクリニーケンの病棟は床面積においても高さにおいても大規模な構造物ではない。これはシュタイナー学校共同体の建物にも共通している。学校を構成する群棟にくらべればヴィーダルクリニーケンは大きい方であるが、それでも2階建てある。建物に圧倒されることも威圧されることもない。各病室の窓からは空と木だけでなく、地面も見える。

 

建材と工法:スウェーデンのこの地域の伝統的な建材と建築工法を生かす。木製の枠組み(timber frame)と煉瓦組積構造の壁にセメントと漆喰仕上げ(brick bearing walls covered with cement and plaster)、外壁は木仕上げ(board-and-batten wood siding)にする。一階の床はノルウェー産大理石で、屋根は彫刻的な造形を可能にする金属性(standing-seam metal roofs)のものを用いる。ベッドとサイドテーブルなどの調度類はすべて木製。

 

造形:平面図と立面図が出会い造形ができる。この造形こそアスムセンの建築の特徴ともいえる不思議な複雑さと温かさを同居させたものである。外観で造形は彫塑的な特異な性格を示している。自然界の形が不規則であるように、ヴィーダルクリニーケンの建物には単調な繰り返しがない。窓枠は四角ばかりではない。天井も角度がつけてある。廊下は長い直線ではなく、ところどころで角度と広さが変わる(写真6〜8)。

 

色彩:ヴィーダルクリニーケンの造形をより一層特徴づけているのが色彩である。建物はどれも異なる造形を示すが、色彩はパステルカラーを基調にしている。基調色となるパステル・ピンクは建物の外壁だけでなく、内壁、床、病室の毛布に及ぶ(写真9)。中でも、ノルウェー産の暖かいサモンピンク系の大理石床材(緑やグレーの石目がはいる)と内壁の淡いピンクが響きあう。廊下や個室のランプシェ—ドは白の手織り布、病室のカーテンも白である。

 

中庭:光と風をおくる中庭の効用はここでも積極的に取り入れられている(写真10)。玄関ホールを入るとガラス越しに中庭が開かれ、中庭の芝生の前方にはこの病院で用いられる薬草の庭、後方には大きな屋外彫刻が見える。日溜まりとなるハーブガーデンの回りには屋外用の白い大きなパラソルとテーブルと椅子、ベンチがさりげなく置いてある。この中庭を囲んで一階は玄関ホールの左手から時計回りに図書室、右折して、クローク、トイレ、中庭に面した幅広の廊下と喫茶スペース、その奥に食事室、また右折して病室に通じる廊下という配置である。換言すれば、ゆったりしたガラス張りの廊下が中庭を一巡し、それぞれの部屋の機能と中庭の開放スペースを結び付けている。季節の年中祭事が行われるのもこの中庭である。2階の廊下も中庭に面している。日溜まりとなった薬草の生える中庭を眺めると、気持ちが和む。

 

廊下:アスムセンの設計の入念さは廊下によく表われている。閉じ込められた収容所の空間にしないように、廊下の両端は窓にして自然光を入れ、開放感を与える。A点からB点への移動が無機質で暗く、しかも長ければストレスがたまる。アスムセンの廊下は直進することなく、微妙な角度がつけてある。光の量と採光角度にも変化をもたせてある。中庭に面する廊下は片側負荷で、深い窓枠に彫刻や花などを置くことができる(写真8)。集会室の前は幅広にし、研修会などが開かれる時はここが受け付けやコーヒーブレイク時の集いの空間として役立つ。

 病室の前の廊下は両側負荷であるが、幅に変化をもたせ、ところどころで部屋をなくしアルコーブを設ける。そこを大きな窓のあるゆったりしたオープンスペースにし、花や観葉植物を飾り寛げる椅子を置く。廊下に手すりがないので、その理由をフローリアン・ピーチ博士に尋ねると、「手すりの代わりに私達は腕を差し出します。」という答が返ってきた。この国ではたとえどんなに精密なロボットができようと、それを患者との対人に使うことは決してないだろう。

 

病室

 病室は個室と二人部屋がある。病室の壁の色は、患者の心理状態に合わせて選ぶ。すなわち硬化症(sclerosis, cold illnesses)にはパステルピンク(暖色)の壁(写真9)、軟化症 (inflammation, warm illnesses) にはパステルブルー(寒色)の壁である。 大きすぎない窓からは柔らかな自然光が入り、深い窓辺に鉢植えの花が咲いていた。照明は白熱灯に手織り白布のランプシェ—ドがかかり、あたたかい落ち着いた光が室内を照らしていた。ベッドで横たわった位置からでも照明が眩しく目に入ることはない。

 

ストレスを与えない建築

 これらの要素の総和がストレスを与えない建築になっている。アスムセンのこうした巧みな創意が建物自体を特に主張することなく、きめて静かにしかし効果的に作用している。一見、簡素にみえるが温かく寛げる空間である。逆にストレスを与える建物の要因としては、大規模、同じパターン(形)の機械的な反復、人工的な建材、開放感のない空間、連続する低い天井、青白い蛍光灯、直射光線、裸の壁の長い廊下などがその筆頭に挙げられる。

 

 アスムセンの設計はルドルフ・シュタイナーの思想にもとづく建築である。[8] 現代のシャープで簡潔な空間ではない。人間が機械にたよらないで対応できるスケール、天然の材質、パステル基調の色彩、深い窓から射す柔らかな光、単調な繰り返しのない不規則性、こうしたことが安心感と温かさ与え、心地のよい空間を造る。いわば効率という概念の対極をいく建物といってもよいかもしれない。コーツはアスムセンの建築の形体と秩序と意味の特徴を次のように指摘している。

 

アムスセンの建築は逆説的で分りにくく、矛盾を孕む。こうした建物は、すべての真の芸術作品同様、それを創った人の意図を越え、それを感じ使う人達のための意味の永久の源となる。[9] 

 

アスムセンの建築は、この地方固有のものであり北欧の建築伝統に根付きながらも、シュタイナーの人智主義の原理と万国に共通する強い感覚に形体を与えることによって地方・地域という根を超越している。[10]

 

 

シルヴィアホームSilviahemmet(写真11〜12)

痴呆高齢者研修所およびデイケア施設

3 Gustave Road, Stockholm, Sweden

訪問日:2002年9月16日

 

 シルヴィア・ホームはストックホルムの西にある王宮の近くに位置する。ここはもと資産家の邸宅だったが、それが市に寄贈されたのを機に痴呆ケアセンターに転用されたものである。シルヴィアという名称が示すように、この研修所はシルヴィア王妃の支援を得て運営されており、主に三つの役割を果たしている。第1に痴呆性老人専門のデイケア、第2に痴呆者専門の介護者養成教育、そして第3に痴呆に関する研究である。王妃自身、アルツハイマーになった母親の介護に献身的につくした。その体験を通じ、王妃は痴呆性高齢者介護のための教育と研修を同時に可能にする養成機関の必要性を痛感し、1995年シルヴィア・ホームを設立した。ここでは研修生のための教科書を独自に作成し、授業と実習を一体にしたカリキュラムを組んいる。教育の中で重要なのはアルツハイマー型の痴呆者にどのように肯定的に話しかけ、どのように接するかについて学ぶヴァリデーション研修プログラムである。

 

環境と建築

 シルヴィア・ホームは自然環境に恵まれた緑豊かな郊外にあり、周囲には大小の住宅が点在する。シルヴィア・ホームも元は個人住宅として設計されたものであるから、転用のための改築にあたっては住宅のもつ家庭的な雰囲気を壊さないように配慮されている。居間、ダイニング、個室はほとんどもとのままである。

現在の平面図は中央のアトリウムのような明るい開放的な共有空間を核とした回遊性のある「口字型」を示す(以下、共有空間をアトリウムと呼ぶ)(写真11)。玄関を入って右手には暖炉のある大きな居間とその奥にいくつかの個室がアトリウムにそって並ぶ。玄関を入って左手回りには上品なダイニングルーム、その奥に台所、そこで右に折れてまた個室がならぶ。右回り、左回りはアトリウムの背後(玄関の対極)に位置する集会室で出会う。アトリウムと集会室は増築部分である。この集会室で研修や講演会などの教育活動が行われる。

中央のアトリウムはもとは邸宅のプールだった。プールをつぶし、テラコッタ色のタイルの床をいれ、壁を立ち上げ、天井のすぐ下に高窓を一巡させた。その結果、開放感のある広々とした共有空間が生まれた(写真11)。高窓からは自然光が入る。高窓を見上げると空や雲の動き、そして樹木のざわめきが見える。デイケアにくる痴呆高齢者はこのアトリウムで食事をしたり、さまざまな活動をする。家具は安定のよい木製のテーブルと椅子。諸々の活動の一面を示すかのようにピアノがあり、大きなぬいぐるみがあった。アトリウムの四方にあるガラス扉を通り、周囲の部屋にいくことができる。逆に介護者はどの部屋にいても、中央のアトリウムの様子を見ることができる。アルツハイマーの患者には徘徊僻のある者がいるから、この部屋の配置はとても便利だそうだ。

 

改築にあたって配慮された点の一つにトイレと異臭対策がある。痴呆者が排泄の阻喪をしても清掃が簡単にできるようにすること、また臭いがつかないようにすること、しかも痴呆者の尊厳は保つこと、である。トイレはシャワーとセットにして一人用のものを数カ所設置してあるから、痴呆者は他の人に見られることなく身体を簡単に洗う(あるいは洗ってもらう)ことができる。またアトリウムの床はタイルで掃除が簡単である。家具は布張りではなく、木製に取り替えの容易なカバー付きクッションを用いている。

 

活動プログラム

報告者の見学時間がデイケアにくる痴呆高齢者の帰った後であったため、じっさいの活動を見学することはできなかった。しかし、台所の隣の部屋には画材が揃っていた。またフィンガーペイントの例を一つ見せてもらった。それは力づよい、色彩の美しい絵であった。シルヴィアホームでは音楽もする。庭仕事もする。また広い台所(写真12)では、介護者と痴呆高齢者が一緒にお菓子を焼いたりすることができるようになっている。これは本当の活動であって模擬的なものではない。

シルヴィアホームは例外的な予算と美しい建築環境の中で運営されている。これはスウェーデン商務省の推進する福祉政策輸出項目の一つに挙げられたモデル事業になっている。

 

3. オランダ

ユマニタス・アクロポリス(Humanitas-Akropolis)(写真13〜16)

ユマニタス・デルーヴェンホック(Humanitas-De Leeuwenhoek(写真17〜20)

所在地: Rotterdam, Holland.     

訪問日:2002年9月20日(火)

面談者:H.M. Becker, Humanitas Foundation General Manager/CEO

 

 北欧の福祉政策にオランダの合理性とビジネス感覚を組み合わせ、高齢者にまとまった戸数の「継続ケア付き永住型高齢者集合住宅」を提供して注目を浴びているのがユマニタス基金である。その本拠のあるロッテルダムに創立者であり代表責任者であるハンス・ベッカー氏を訪問した。

 オランダの諺に「古い木は動かすな」というのがあるそうだ。思い出や個々の生活様式のつまった住処(home)から高齢者を何度も切り離してしまうと、その人を支えていた根も弱ってしまうということだろう。高齢期を迎えてから死にいたるまでの間に「移動」を余儀なくされると「施設を移る度に医療的機関要素が強く目立つようになり、その分、高齢者の混乱や物忘れ、寂寥感、無力感が募ることになる。」[11]

 ユマニタス基金が打ち出し、大発展をとげているのが「同じ住居で生涯介護」(Lifetime care in one location)すなわち継続ケア付き永住型高齢者集合住宅である。名称のとおり、ユマニタス基金は集合住宅と在宅介護(ホームケア)、そして看護と治療を提供する非営利組織NPOである。ユマニタスが運営する集合住宅(アパート)とナーシング・ホームには2000年 8月現在で約4000人の高齢者が住み、1800人が働いている。[12] ユマニタスの詳しい紹介は本報告書の資料編を参照していただきたい。アメリカでも、同様の考え方にもとづく継続ケア退職者コミュニティー(Continuing Care Retirement Communities: CCRCs)が人気を集めている。[13] 

 

理念

ユマニタス基金のハンス・ベッカー氏の信条は「人生は最後まで楽しむもの」である。ここから一種の系として「人間の自由を最後まで最大限尊重すること」が出てくる。したがってユマニタス基金の運営する集合住宅は細かな規則で居住者を縛るものではない。ここで働くスタッフはその特徴を「肯定文化、Yes, Culture」と呼ぶ。また『ユマニタス要覧』(Humanitas in een notendop, Humanitas in a nutshell)には「高齢者にとって本当の福祉、すなわち幸福をもたらすものは、看護婦よりもペット、栄養士よりもバーのマスター、衛生第一主義の環境よりも潤いのある芸術的な環境である。」[14]と記されている。無論、年令と恋愛は関係ないということを認めている。

 この信条が運営にも建築環境にも反映されている。ベッカー氏は建築家に注文を出す時、「なんでも好きなよう設計してよい。ただし四角い箱はダメ。高齢者が楽しめる混沌とした空間を創ること」と言う、と冗談めかして語った。これは誇張であり、現実には予算があり、建築基準法、消防法、開業認可規定などもろもろの法規の課す条件をクリアしなければならないわけだが、氏の言わんとするところはよく伝わってくる。つまりユマニタスはコンピュータ・グラフィックの画像にみる幾何学形を組み合わせた無菌状態の世界ではない。

 実際、報告者の訪問したユマニタス・アクロポリスは規模が大きく、採算面にも大いに配慮した設計になっているにも拘わらず、退屈しない温かみのある空間になっている。人生を楽しむという信条どおり、そこにはバーがあり、ワインの飲めるレストランがあり、音楽室があり、インテリアデザインの仕上げにはベッカー氏がアフリカと東南アジアで蒐集した彫刻をはじめ、油絵やテキスタイルがあらゆる壁や空間を飾っていた(写真15〜16)。ベッカー氏の個性の溢れた空間だ。玄関ホールに並べられたアンティークの車椅子の大コレクションは、人はいつの世もそれぞれの文化的社会的環境の中で加齢していくことを静かに物語っていた。

 

 こうした考え方が建築環境に反映される時、ユマニタス仕様とでも呼べるものが出来上がってくる。その際の前提条件に次の3点があげられる。[15]

1)脱施設化するために、「住む」ということと「サービス」を分けて考える。「住む」ということに関しては、加齢にともない心身がさらに弱まっても他の施設に移る必要のない設計にする。サービスは必要に応じてあたえる。このサービスは集合住宅の居住者だけでなく、地域の人にも開放する。

2)高齢者が社会から遊離しないようにする。共有空間は公の空間とする。

3)楽しみの空間を提供する。

 

報告者は、具体的な「ユマニタス仕様」をユマニタス基金の運営するもっとも対照的な二つの永住型集合住宅に視察した。一つはロッテルダム郊外にある新しくて大規模なユマニタス・アクロポリス(Humanitas-Akropolis)、もう一つはロッテルダムの都心にある古くて小規模なユマニタス・デルーヴェンホック(Humanitas-De Leewenhoek)である。ブルース・ダーリングは2002年ユマニタス・ベルグヴェーグ(Humanitas-Bergweg)を視察している。

 

ユマニタス・アクロポリス(Humanitas-Akropolis)

共有空間

 ユマニタスに住む高齢者が社会の日常から遊離・隔離しないように、共有空間はさまざまな人が利用できるように設計されている。つまり共有空間は一種の小さな街の形成である。それを具現するのが玄関の右手に広がる吹き抜け大空間のアトリウムである。1階から6階まで連続する上昇感のあるアトリウムはまるで屋外のような開放空間を創っている(写真13)。建物のやや凡庸な外観からは想像できない効果である。

街の中心地的な役割をもつアトリウムは壁で区切ることなく、その流動的な連続空間の中にレストランあり、バーあり、ビリヤードコーナーあり、そしてグランドピアノがある。アトリウムの一角から屋外の広い木製デッキがつづいている。またアトリウム反対側には絵画兼談話室、痴呆者のデイケアがある。訪問時にはデイケアにあつまった高齢者が皆で歌を歌っていた。レストランは施設っぽいレストランではない。メニューも飲み物(ワイン、ビール)も食器も布のナプキンもテーブルを屋外に並べるヨーロッパ風のレストランの雰囲気である。レストランは誰でも利用できる公共空間であるから、ここに住む高齢者もちょっと街にでる気分で身だしなみを整えてやってくる。

アトリウムを挟む両側の集合住宅部の廊下は片側負荷で、通路というより吹き抜けアトリウムに面したバルコニーのようなデザインである。

 この建物には4つの入り口がある。正面玄関、居住者用玄関、職員通用口、台所用搬入口である。正面玄関を入ると、花屋、ミニコンビニ(サンドイッチやワインなど)(写真14)、美容・理髪店、その右手に音楽室、奥に礼拝室、そして台所が並ぶ。これらを結ぶ廊下は、まるで画廊のように、いたるところにアフリカや東南アジアの彫刻、面、絵画、鳥籠などで飾られていた。居住者専用玄関は郵便室、その横の洗濯・リネン室、エレベーターへとづづく。

 集合住宅が郊外にある場合、楽しむ場所や、実用的な店、介護する人が生き抜きできる場所を組み込むことが大切である。刺激と社会生活の延長は心身の活性を助ける。居住者が自分のアパートに隠らないようにする仕掛けである。

 玄関前には深い廂がついているから雨の日の車の乗降に役だつ。玄関の前方には小さい庭と池がある。ミニマリズと合理性の中にも緑と水は人間にとって欠くことのできない要素として取り入れられている。空を映す池には濃いピンク色の睡蓮が咲いていた。

 アクロポリスでドラマチックな効果をあげていたアトリウムの先例として、同じユマニタス基金の運営によるユマニタス・ベルグヴェーグ(Humanitas Bergweg、Rotterdam Oude Noorden)の永住型集合住宅における大アトリウムの成功があった。ベルグヴェーグのアトリウムは2階にある。ベルグヴェーグの特徴は一階が充実したスーパーマーケットになっていて、高齢者も地域の人もここで買い物をする。スーパーマーケット入り口の横にエスカレータあり、そのまま上がると2階のアトリウムに出る。出会いの公共空間としてのアトリウムの利用度を高めるためのうまい仕掛けである。スーパーマーケットという常に行く場所と高齢者集合住宅を組み合わせることにより、親や知人を訪問しやすくなる。世代間に渡って一緒にレストランで食事をすることができる。さらに創作活動センターをここに組み込み、複合文化施設の一端を担う可能性さえ示している。

 オランダのアマースフォルト(Amersfoort)の郊外に出現した新都市計画の高齢者住宅ではレストランの奥に美術室があり、そこで行われる絵画教室は建物の居住者に限らず、地域の人々にも開講されていた。

 

 

住居部

ユマニタス・アクロポリスの一戸に住む御婦人にアパートの中を見せてもらった。御主人との二人暮らしである。入り口を入り左手が台所、そこから時計回りに食堂、居間、寝室、バスルーム(洗面/シャワー/トイレ)、納戸と回遊し、入り口に戻る。寝室からベランダに出られる。ベランダの幅は広い狭いがあり、広いところには屋外用のテーブルと椅子を置くことができる。バスルームは広いが浴槽ではなく椅子付きのシャワーのみだから障害者には楽だろう。

日本の公団住宅に比較しても、このアパートはけっして広くもないし贅沢でもない。オランダらしい無駄のない設計だ。しかし居住者の心身の状態が将来弱くなった時に適応できるような仕様になっており、この仕様はユマニタス基金が運営するほぼ全部の継続ケア付き永住型高齢者集合住宅に共通する。典型的な集合住居の基本を『ユマニタス要覧』から引用する。

 各戸床面積:75F(ユマニタス・ベルグヴェーグの場合)

 玄関の扉は寝台が通れる幅にする

 浴室・トイレは車椅子のみならず、担架が入れる広さにする。

 適応可能な浴室にする。(浴室はシャーワーのみ)

 台所のカウンターの高さは調節可能にする。

 敷居は排除する。

 (この他、ガラス戸つきヴェランダを設けているところがある。)

 

ユマニタス・デ・ルーヴェンホック

(Humanitas De Leeuwenhoek, Rotterdam Oude Westen)

 ユマニタス基金の運営する継続ケア付き永住型高齢者集合住宅の中でもっとも古いユマニタス・デ・ルーヴェンホックを訪ねる。ここはユマニタスのために新築された建物ではなく、ロッテンダム市の中心部にあった既存の建物を転用したものである。ロッテンダムは古い街で、特にこの界隈は多様な人種が雑居するエスニック街だ。オランダでは麻薬と売春が認められている。人口密度も高い。それだけに問題も少なくない。この集合住宅はそうした街のど真ん中に位置している。郊外のアクロポリスとは環境も規模も大いに異なるが、街中には社会生活をいつまでも楽しめるという魅力がある。

 交通のはげしい大通りに面した玄関を入る。

 玄関を入ってすぐのラウンジでは、ここに住む人々がギターの奏でる陽気なラテンリズムに合わせて大勢で歌を歌っていた(写真18)。なんとも庶民的で賑やかだ。平均年令は75歳位だろうか。窓側にピアノがあり、壁側がバーになっている。車椅子の人も数人いる。チェスをしている人達、読書をする人、数人でおしゃべりをしながら編み物をする婦人達、中にはちょっと憂鬱な顔の人もいる。いづれにしろ、このスペースがよく使われていることが分る。ここは社交の場であるからカジュアルではあるが身支度を整えている。パジャマ姿や室内着姿はない。

ラウンジは質素なつくりだが、蛍光灯は使用しない。壁には色彩豊かな水彩画がここかしこに飾ってある。これらはここの居住者の作品だ。その美術プログラムを担当しているRoel Braamsさんが案内役を勤めてくれた。まずラウンジの隣にある美術室にはいる(写真17)。

美術室がラウンジの隣という配置がいい。この美術室の大きな窓からは中庭の緑が見え、扉を開くとそのまま中庭につづく(写真19、20)。つまりラウンジから中庭へ抜けるには美術室を通らなければならない。この時美術室の中央を占める大きな創作用作業テーブルや水彩、パステル、木炭、粘土など様々な画材が目にはいる。つられて創作に手を染める人もいるに違いない。作品はどれも自由でのびやかなよいものだった。

 中庭にでると、大通りに面した建物の背面であることが信じられないくらい青青とした落ち着いた空間だ(写真19、20)。せまいながらここにも睡蓮の池があり、緑陰をつくる木があり、木製の屋外用のテーブルとベンチと椅子があちこちにさりげなくおいてある。絵画指導のRoel Braamsさんが4階建ての煉瓦造りの建物の窓枠を白とワインレッドに最近塗りかえた。建物に生き生きしたアクセントができた。

 都心のユマニタス・デ・ルーヴェンホックにはアトリウムも小さな店(ミニコンビニ、美容室、花屋)もない。ここに住む人はすぐ街に出られるから必要ないのだ。車椅子の人は、ミニバスを呼んでもらうことができる。都心の住居に必要なのは緑と土と水のある空間を取り込むことだ。クリストファー・アレグザンダーが『パタン・ランゲージ』の中で「水への接近」とか「手近な緑」とか言うのはこういうものだろう。

 2階から4階が居住空間になっている。アクロポリスが1LDKであったのに対し、ここは広い寝室に1.5畳ほどの小さい台所がついている。廊下も両側負荷で暗い。しかし、入口となる扉は上下に2分されたもので、上半分だけ開けることができる。また扉の横の小さい台所の窓には住人それぞれの飾りつけがしてあった。

 ユマニタス・デルーヴェンホックには立派なレストランもないし、各戸の居住面積も狭い。ユマニタス仕様をすべてクリアしているとはいえない。にもかかわらず、この集合住宅には庶民的な暖かさと活動がある。高齢者にとって都会という立地条件もさることながら、充分活用されているラウンジや美術室、そして気持ちのよい中庭に負うところが大きいだろう。

 

むすび

本報告ではドイツ、スウェーデン、オランダにおいて芸術プログラムを取り入れている高齢者の居住環境の事例を取り上げた。それらは小規模の高齢者ケア付き住宅(ドイツ、カリタス聖アンナ・ハウス)、病院(ヴィ−ダルクリニーケン、高齢者に限定しない)、痴呆専門介護教育機関(シルヴィアホーム)、継続ケアつき永住型集合住宅(オランダ、ユマニタス・アクロポリス、ユマニタス・デルーヴェンホック)である。これらは規模、高齢者の心身の健康度、立地条件、運営の理念と形態においてそれぞれ異なる。しかし、そうした相違を越えて、どの訪問先においても見ることのできた特徴がある。それは、人間の老いと尊厳に対する考えが根本のところで共通するからであろう。居住環境の共通項として次の点を指摘し本報告のまとめにする。

 

1.高齢者の居住環境に地域社会との繋がりを保つことのできる空間をつくる(レストラン、芸術室、アトリウムなど)。収容・隔離ではない。

2.個人の生活を大切にし、自立を助けるための設計をする。

3.可能なかぎり選択を認め、住む人が自分の部屋をつくる。

4.寛げる空間、快い空間をつくる。(ストレスを生まない居住空間)

5.人間のスケールにあわせた規模の建物にする。大規模建築の場合は、クラスター化などで分散し個別化する。

6.自然(光、水、木、土)を取り入れる。

7.開放感のある建物(中庭、アトリウム、廊下の片側負荷など)にする。

8.自然の建材と調度類を用いる。

9.絵画、彫刻、工芸品などを空間に取り入れる。

10.美術室、音楽室、図書室、ダンス室など活動のできる場をつくる。

 


Masuyo Tokita Photos

 


 

参考文献

 

Stichting Humanitas. The Inventors of the Age-proof Apartments. Rotterdam, August, 2000.

 

Becker CEO, Hans. Humanitas in een notendop(Humanitas in a Nutshell).

 

Brawley, Elizabeth C. Designing for Alzheimer’s Disease: Strategies for Creating Better Care Environments., 1997.

 

Leibrock, Cynthia. Design Details for Health. New York: John Wiley & Sons, 2000.

 

Coates, Gary J. Erik Asmussen, architect, Max Plunger Photographs, Susanne Siepl-Coates Drawings, Stockholm, 1997.

 

_______. “New Design Technologies: Healing Architecture - A case study of the

Vidarkliniken.Journal of Healthcare Design, vol. 8 (1998). Also Internet-publication at http://www/antroposofi.org/vidar/healthcare.htm.

 

Regnier, Victor, J.Hamilton, S. Yatabe. Design for Assisted Living: Guidelines for Housing the Physically and Mentally Frail, John Wiley & Sons, Inc., 2002.

 

Verderber, Stephen and David J. Fine. Healthcare Architecture in an Era of Radical Transformation. New Haven: Yale University Press, 2000.

 

卯月盛夫「ドイツのシュタイナー医療〜フィルダークリニークの実践〜」Lattice (21世紀の医療), 1 (2000), pp. 17-18.

 

ダーリング・ブルース「アメリカにおける高齢者の居住環境の選択肢」『社会福祉の動向と課題』西尾祐吾・塚口編著 中央法規2001年、pp. 295-315.

 

 

ダーリング・ブルース「施設に住む高齢者の「生活の質」と芸術の役割」九州保健福祉大学研究紀要、1号(2000), pp. 11-16.

 

高橋ユリカ「医療としてのシュタイナー」『Asahi Shimbun Weekly AERA』2000.10.30, pp. 57-59.

 

外山義「建築環境とユニバーサルデザインーーユーザー視点の施設づくり」梶本久夫監修『ユニバーサル・デザインの考え方』丸善、2002年、pp. 111-160.

 

服部友香『スウェ−デン見聞録、私がシュタイナー病院で学んだこと・・・ヴィーダルクリニーケンの代替医療』Lattice (21世紀の医療), 1 (2000), pp. 4-16.

 

 



[1] . “Die eigene Wohnung ist das Kernstück der Selbständigkeit, auch im alter und selbst bei Pflegebedürftigkeit. …Wohnen –nichit, “untergebracht” sein.” Carita, St. Anna Haus Holzkirchenのパンフレットより抜粋。

[2] . Barbara Herzberger, “St. Anna House in Holzkirchen.” Mimeograph.

[3] .服部友香『スウェ−デン見聞録、私がシュタイナー病院で学んだこと・・・ヴィーダルクリニーケンの代替医療』pp. 4-16; 卯月盛夫「ドイツのシュタイナー医療〜フィルダークリニークの実践〜」pp. 17-18.

[4] .高橋ユリカ「医療としてのシュタイナー」『Asahi ShinbunWeekly AERA2000.10.31, p. 59.

[5] . Vidarkliniken, “Beautiful architecture and coloring as well as natural materials in the interior decoration of the rooms are examples of artistic values that have a therapeutical effect.”

[6] . Coates, Erik Asmussen, architect, pp. 124ff.

[7] . Gary J. Coates, Erik Asmussen, architect, Max Plunger Photographs, Susanne Siepl-Coates Drawings, Stockholm, 1997, p. 35. 

キャンパスには次の棟がある。小学校、工芸棟、大学教室、化学棟、住居棟、音楽棟、図書館、リズム運動棟、社交棟、寄宿舎、文化館(浮彫や壁画のある立派なホール。展示空間とレストランを持つ。)

[8] . G.J. Coates, Erik Asmussen, architect, Max Plunger Photographs, Susanne Siepl-Coates Drawings, Stockholm, 1997.

[9] . Coates, Erik Asmussen, p. 24. “…his buildings are paradoxical, ambiguous, and subject to the most varied and sometimes contradictory interpretations. Such buildings, like all true works of art, always transcend the intentions of their makers and represent an inexhaustible source of meaning for those who perceive and use them.”

 

[10]. “Vernacular and modern Nordic building tradition , yet, at the same time, his buildings transcend their local and regional roots by giving form to the archetypal and universalizing impulses of Rudolf Steiner’s anthroposophy.”  

[11] .ダーリング・ブルース「アメリカにおける高齢者の居住環境の選択肢」『社会福祉の動向と課題』西尾祐吾・塚口編著 中央法規2001年、pp. 307-8.

[12] . Humanitas in een notendop, Humanitas Press, Rotterdam, August 2000、による。

[13] . 前掲書、pp.311ff.

[14] . Hans Becker CEO, Humanitas in a Nutshell; see Appendix I.

[15] . Victor Regnier, FAIA, Design for Assisted Living: Guidelines for Housing the Physically and Mentally Frail, John Wiley & Sons,


『老人施設の「生活の質」と芸術の役割』